簡単にいうと『腹筋が左右に引き裂かれている状態』が腹直筋離開です。
妊娠後期の妊婦さんに多く発生し、産後は自然治癒することが多いので腹直筋離開を知らないママもいるでしょう。
・腹直筋ってどれ？
・腹直筋離開はなぜ起こるの？
・腹直筋離開のセルフチェック方法
・放っておくといけないの？
・腹直筋離開の予防法と改善法
について、ママセラピストが解説していきます。
産後のママはぜひセルフチェックをしてみてください
腹直筋は腹筋群の中で一番表面にある筋肉です。左右対称に存在し、左右の腹直筋をつなぐ結合組織を『白線』と呼びます。
胸骨剣状突起、５～７肋軟骨から恥骨に付く筋肉で、前かがみになるときや息を吐くときに働きます。
『腹筋を割りたい！』と思って鍛えるのが腹直筋です。
妊娠後期になるとお腹の赤ちゃんの成長スピードが速くなり、お腹もどんどん大きくなっていきます。
また妊娠中に増加するホルモンの影響で、靭帯や腱などの結合組織が柔軟になっています。
これらの要因により、左右の腹直筋を中心でつなぐ白線が過度に左右に引き伸ばされ『腹直筋離開』が起こります。
肥満で腹囲が増加することも腹直筋離開につながることがあります。
妊娠の経験がある方は腹直筋離開していないか調べてみましょう。
調べたことが無いママがとても多いです！
１．仰向けに寝た状態で膝を立てる。
２．首を持ち上げて腹直筋に力を入れ収縮させる。
３．手の指を2本揃え、へそから上下4.5㎝の白線に触れてみる。
４．指が入る深さや幅、白線の硬さを調べる。
指2本分入る幅があると腹直筋離開であると判断されます。
それ以外にも指の爪の深さまで沈み込んでしまったり、白線がペコペコするような柔らかい感触があると腹直筋離開であると言えます。
妊娠後期の妊婦さんなら7割程度の人が腹直筋離開になっています。
腹直筋離開になったママでも、産後２～３カ月くらいで自然治癒するママがほとんどです。
しかし２、３割のママは自然治癒せずに腹直筋離開のままになっていることがあります。
腹直筋離開をそのままにしておくと、身体的に様々なデメリットがあります。
腹筋がしっかり働かないと姿勢を維持できず、代わりに背中や股関節周りの筋肉に大きな負担がかかります。
その影響から、身体に痛みが出やすくなってしまいます。
腹腔内圧をコントロールするために腹筋が必要ですが、うまく働かなくなると骨盤底筋群に負担がかかります。
骨盤底筋群に圧がかかり過ぎると、尿漏れを起こす原因になります。
腹筋がゆるんでいるため、内臓を支えきれずにお腹がポッコリ出てきてしまったり、良い姿勢を保てずに背中が丸くなってしまうなど、姿勢や体型が崩れてしまう原因になります。
上記の症状に当てはまるものがあれば、腹直筋離開になっていないかセルフチェックをおこなってみましょう。
もし腹直筋離開かな？と感じたら、次に解説する改善方法を試してみてください。
・腹筋群のストレッチ
普段から筋肉の柔軟性を維持するためのストレッチを継続しましょう。
特に安定期に入った妊婦さんは、これから大きくなるお腹の柔軟性は大切です。
四つ這いになって背中を反らせるポーズをすると、腹筋が伸ばされるので試してみてください。
・体重コントロール
妊婦さんに限らず、体重の急激な増加により腹囲が大きくなると腹直筋離開を起こすことがあります。
妊婦さんは安定期に入りつわりが落ち着くと、急に食欲が増すこともあります。
体重が増え過ぎないようにコントロールしましょう。高血圧や糖尿病の予防にもつながりますよ。
・姿勢を意識する
立っているとき、座っているときに猫背になりやすい人は要注意です。
腹筋が収縮すると左右の腹直筋の距離が遠ざかり、離開が広がってしまいます。
背中を伸ばし、お腹側にも張りを作ってあげることで左右の腹直筋が中心に戻りやすくなります。
・腹帯、さらしを巻く
常に姿勢を意識するのは大変なので、お腹の上から腹帯やさらしを巻き、腹直筋が離れていかないようサポートしてあげましょう。
きつく巻く必要はありません。やさしくふんわり巻くぐらいで十分です。
・腹横筋トレーニング
腹直筋の奥にあるインナーマッスルをトレーニングすることで、腹筋群が上手く機能するようになってきます。
腹腔内圧をコントロールできるようになれば、尿漏れなどの症状も改善されていきます。
いかがでしょうか？
産後のママは「もしかしたら腹直筋離開しているかも？」と感じたかもしれません。
出産直後から育児に追われて動き回ってしまうママが多いので、しっかり治っていないこともよくあります。
今からでも腹直筋離開を改善できるので、気になったママは専門機関などに相談してみてくださいね。
