
妊娠中、出産時に大きなダメージを受けるのが骨盤底筋群です。
骨盤底筋群は女性のQOL*¹を左右すると言っても過言ではないくらい重要な筋肉です。
*¹Quality Of Life=生活の質
骨盤底筋群を正しく理解し、適切なエクササイズを行うことで妊娠出産によるダメージを回復できます。
この記事では
・骨盤底筋群をわかりやすく解説
・骨盤底筋群が使えないとどうなるの?
・骨盤底筋エクササイズ3選
を、ママセラピストが解説していきます。

骨盤底筋エクササイズの認定インストラクター、おこめ*です!
↓↓骨盤底筋群と産後リハビリの関係性はこちらの記事から↓↓

まずは骨盤と骨盤底筋群を解剖学的に解説していきます。
一般的に「骨盤=骨格」、「骨盤底筋群=筋肉」という理解でOKです。

腸骨、仙骨、恥骨、坐骨から構成されています。
これらの骨が組み合わさって「骨盤」を形成します。骨盤は人体のほぼ中央に位置しています。
骨盤の中には膀胱、子宮、直腸があり、これらを「骨盤内臓器」と呼びます。

体表から順に、
坐骨海綿体筋
球海綿体筋
浅会陰横筋
外肛門括約筋
外尿道括約筋
尿道圧迫筋
尿道膣括約筋
深会陰横筋
肛門挙筋(恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋)
と分けられます。
これらの筋肉を総称して「骨盤底筋群」と呼びます。

先ほど見たように、骨盤底筋群は骨盤の底辺にあり、骨盤内臓器が脱落しないように支える働きがあります。
また、排尿排便をコントロールするための筋肉でもあります。
さらに腹横筋や多裂筋などのインナーユニットと協働して腹腔内圧を正常に保ち、姿勢を維持する役割もあります。
骨盤底筋群が上手く機能しないと、どのような症状が起こるのでしょう?
代表的な症状として、
・尿もれ
・臓器脱
・姿勢不良
・性交痛
などがあります。
咳やくしゃみなど、腹圧がかかることで骨盤底筋群が緩み尿漏れが起こったり、骨盤内臓器を支えきれずに臓器が体外に落ちてきてしまうこともあります。
また、適正な腹圧が維持できずに姿勢が崩れ、下腹がポッコリ出てきてしまったり、猫背による肩こりがひどくなる場合もあります。
逆に、妊娠出産で骨盤底筋にダメージを受けたことにより、骨盤底筋群が過緊張状態になることがあります。
骨盤底筋群が過緊張状態になると、性交痛が起こる場合があります。
このような場合は骨盤底筋のストレッチやリラクゼーションで、骨盤底筋群を弛緩させてあげることが必要になります。
ここでは簡単で分かりやすい骨盤底筋エクササイズをご紹介します。
私が学んだ「ピフィラテス」という骨盤底筋に特化したエクササイズの手法です。
産後1か月程度(帝王切開の方は2か月程度)から少しずつ始めていきましょう。
ピフィラテスは10種類のエクササイズが3段階の運動強度に分けられて使われますが、ここではやり方をご紹介しますので、運動強度はご自身の体調に合わせて調節してください。
また、体調に不安のある方は必ず医師の許可を得てから実施してくださいね。
1.ランジのやり方
① 息を吐きながら一歩前へ脚を出す。
② 息を吸いながら、出した脚を戻す。
③ 同様に反対の脚もおこなう。
④ ①~③を3~10回程度繰り返す。
⑤ 片脚を前に出した姿勢で5秒キープ。
⑥ キープした姿勢のまま、小さく上下に5回バンス(弾む)する。身体が下に行くタイミングに合わせ、「ハッ、ハッ、ハッ」と息を素早く吐く。
⑦ ゆっくり足を戻す。

2.スクワットのやり方
① 脚を肩幅に開き、息を吐きながらイスに座るようにして身体を下ろす。この時かかとは上がらない。
② 息を吸いながらゆっくりと膝を伸ばし、身体を持ち上げる。
③ ①~②を3~10回程度繰り返す。
④ 膝を曲げた姿勢で5秒キープ。
⑤ キープした姿勢のまま、小さく上下に5回バンス(弾む)する。身体が下に行くタイミングに合わせ、「ハッ、ハッ、ハッ」と息を素早く吐く。
⑥ ゆっくり身体を持ち上げる。

3.キャット・イントゥ・カウのやり方
① 両手は肩幅、両膝は腰幅に開き四つ這いになる。
② キャットポーズでは、顎を引き背中を丸め骨盤を後ろへ傾ける。この時に息を吐く。
③ 牝牛(カウ)のポーズでは、尾骨と顎を持ち上げ、お腹を床へ落とし背中を反らせる。この時に息を吸う。
④ ②~③を3~10回程度繰り返す。
⑤ キャットポーズのまま5秒キープ。
⑥ 背中をさらに丸める動作で素早く息を吸い、骨盤を元の位置へ戻すときに素早く息を吐く。「ハッ、ハッ、ハッ」の呼吸のリズムに合わせ、5回素早く繰り返す。


どうでしょう?
思ったより簡単にできそうなエクササイズですね。
これらのエクササイズで大切ポイントは「呼吸」と「動き」の連動です。
骨盤底筋群が呼吸時にも働くことを意識して行いましょう。
これらのエクササイズを1日2回、5分ほど行うことで、1か月程度で効果を実感することができます。
ぜひ挑戦してみてください。
この記事では骨盤底筋群の解説と重要性、骨盤底筋エクササイズのやり方をご紹介しました。
産後1か月(帝王切開の方は2か月)を過ぎて、体調に問題が無ければ産後リハビリを開始しましょう。
産前産後にきちんと産後リハビリについて指導してくれる医療機関がまだまだ少ないのが現状です。
あなたの健康を守ることで、赤ちゃんの笑顔も守ることができますよ。
骨盤底筋群をしっかり鍛えなおすことで、今後の生活にたくさんのメリットがあります。
逆に骨盤底筋群が上手く働かないままにしておくと、生活にたくさんの悪影響を及ぼす可能性があります。
産後ママがいつまでも健康で女性らしく、生き生きと生活できるよう、ぜひ骨盤底筋エクササイズを実践してみてくださいね。

ご質問があれば、コメント欄から受け付けていますよ!