
赤ちゃんのできることが増えていくのを見るのはとても嬉しいことですよね。
赤ちゃんの発達の目安に「うつ伏せができるか」ということがあります。
同じ月齢の赤ちゃんを見て「うちの子は発達が遅いのかな?」「うつ伏せの練習をさせたほうがいいのかな?」と心配になってしまうママも多いかもしれません。
この記事では赤ちゃんの発達の目安、うつ伏せになることのメリット、うつ伏せの練習をする際の注意点をママセラピストが解説していきます。
結論から言うと、うつ伏せの練習は必要ありません。
周りの赤ちゃんと比べて「首が据わるのが遅いな」「うつ伏せの練習をしないと発達が遅れるのかな?」と心配になることもあると思いますが、わざわざうつ伏せになる練習をしなくても大丈夫です。
赤ちゃんは個々のペースで、ちゃんと成長していきます。
では、うつ伏せができるようになるまでの赤ちゃんの発達過程を、月齢を目安に見ていきましょう。
新生児期の赤ちゃんをうつ伏せにすると、手足を強く曲げ、胸の辺りで体重を受ける姿勢となります。
頭を上げる力は無く、呼吸をするために顔を左右どちらかに向けている姿勢になります。

生後間もない時期に比べ、うつ伏せの姿勢でも股関節が少し伸ばしやすくなってきます。
それに伴って胸に乗っていた体重がわずかに軽減され、顎が上がる程度の可動域が生まれます。
しかし、継続的に顎を上げた姿勢が維持できるほどの筋力はありません。

この頃になると前腕で体重を支え、頭を上げた位置を保持できるようになってきます。
姿勢保持も左右対称に限りなく近くなり「パピー姿勢*¹」の始まりとなります。
頚定(首据わり)までもう少しという状態です。



*¹パピー姿勢(パピーポジション)とは「肘立て腹臥位」の姿勢のことで頭部、体幹を伸展させたうつ伏せの状態のことです。
4カ月にもなると、頭を正中で90°挙上できるようになってきます。
前腕でしっかり体重を支え、状態を反らせることができ「パピー姿勢」が完成します。
この頃にはすでに「首が据わっている」状態であり、うつ伏せができたと言えますね。

次に、赤ちゃんがうつ伏せの練習をするメリットについて解説していきます。
赤ちゃんがうつ伏せになるメリットは以下の3つです。
1.姿勢の安定
お腹側に刺激が入ることで頭部を挙上する、という「頭に対する身体の立ち直り反射」があります。
これにより、重力に逆らって姿勢を維持するための筋肉を鍛えることができます。
腕を使って上体を持ち上げようとする運動で、肩甲骨回りや体幹の筋力を鍛えバランス感覚も発達していきます。
2.視野の拡大
頭が挙がることにより視野が拡大し、周辺の対象物に対する意図が生まれます。
標的に対する注視、追視機能がより発達していきます。
3.呼吸器の発達
背中に圧がかからないことによって背中側の肺が広がりやすくなります。
肺が大きく広がり呼吸が促されると、呼吸器の発達が促されます。
また、うつ伏せの姿勢に慣れている赤ちゃんはちゃんと口を閉じた状態での腹式呼吸も上手になります。
腹式呼吸は体幹の安定性や口腔内の発達にもいい影響を与えます。
1.絶対に目を離さない
2.柔らかい場所でうつ伏せにさせない
3.授乳直後にうつ伏せにしない
4.赤ちゃんが嫌がる場合はすぐにやめる
頭の動きをうまくコントロールできない赤ちゃんがうつ伏せの練習をする際は、必ず大人が付き添い目を離さないようにしましょう。
うつ伏せのまま眠ってしまったり、柔らかいお布団の上でうつ伏せにすると鼻や口を塞いでしまい窒息してしまう恐れがあります。
また乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まるとも言われています。
授乳直後の赤ちゃんは、お腹が圧迫されて吐き戻してしまうこともあります。
そして赤ちゃんによっては、うつ伏せの姿勢が嫌いな赤ちゃんもいます。
赤ちゃんの機嫌を見ながら安全に配慮し、必ず大人の見守りのもとでうつ伏せの練習を行いましょう。
赤ちゃんは仰向けで寝ている際にも、手足をバタバタ動かしたり、頭を左右に動かしたりして筋力を鍛えています。
だんだん自分の体をコントロールできるようになり、首が据わり、寝返りの動作が始まってきます。
それぞれの赤ちゃんのタイミングで発達は進むので、わざわざ練習する必要はありません。
周りの赤ちゃんと比べて焦る必要はありませんよ。

発達がゆっくりな赤ちゃんも、ちゃんとうつ伏せができるようになりますよ。
赤ちゃんは生後間もなくから、仰向けの姿勢で身体を動かしながら筋力トレーニングをしています。
頭を持ち上げるための頚や体幹の筋力が十分に発達してくると、頭の位置を保持したままうつ伏せの姿勢を維持できるようになります。
ママパパがわざわざうつ伏せの練習をさせなくても、赤ちゃんはそれぞれのペースでちゃんと発達していきますよ。
うつ伏せの練習には危険も伴いますので、必ず大人が付き添い、目を離さないように気を付けましょう。
赤ちゃんの機嫌を見ながら、親子のスキンシップの時間として楽しく練習できると良いですね。